スポーツ事例

ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!

ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!

数あるハンドバイク(ハンドサイクル)の中で、もっともポピュラーなマシン「シティ・コンフォート」を、イフの常連さんである「S様」に納車させていただいた時の紹介記事はご覧になりましたでしょうか?

シティ・コンフォートをゲットしてから4年ほど経ちましたが、北海道の短い夏期間だけでは走行距離はあまり伸びず、当初の目的の一つだった「日頃の運動不足(メタボ)解消」はかなり困難でした(笑)

そんな S様の「家の中で、テレビでも見ながらハンドバイクを漕げたらいいんだけど・・・」という何気ないつぶやきがキッカケとなり、ハンドバイク用の “サイクルトレーナー” の製作にチャレンジさせていただくことに相成りました。


サイクルトレーナーとは、ロードバイクなどの自転車を静止した状態で、ペダルを漕ぐことができるアイテムで、これを使うと、室内にいながらもロードバイクでトレーニングをすることができます。

ことロードバイクの世界ではメジャーなアイテムで、初心者向けや上級者向けなど、様々なタイプの商品が販売されていて目的やスキルに応じて選び放題なのですが、残念ながらハンドバイク(ハンドサイクル)用のものは海外で一部販売されているようですが、日本ではあまり馴染みがありません。

アダプタータイプのハンドバイクなどで、外装ギヤオンリーの仕様であれば、車軸の左右を挟むこんで固定する「固定ローラー式」というサイクルトレーナーを流用することができるのですが、シティ・コンフォートは内装ギヤ仕様であることから変速機がハブシャフトに装着されているため、固定ローラー式のサイクルトレーナーは使えませんでした。

出典:Amazon

 

あれこれ考えた結果、セットの手軽さと、ペダリング(ハンドリング)スキル向上の両方を実現すべく、「3本ローラー(※)」を流用した「ローラー台」を製作する方向で進めることに決定しました!

※三本ローラーは、見た目は3本の筒状の物を並べた形をしており、この上をロードバイクで走ります。固定ローラー式とは異なり、ロードバイクを支えるものがないため、バランスを取るのが難しい上級者向けのサイクルトレーナーです。しかし、ハンドリングが難しい一方で、より実走に近い形で走ることができるので、効果的なトレーニングを積むことができます。

出典:Amazon

 

さっそく、3本ローラーの定番品といっても過言ではない、株式会社 箕浦(MINOURA JAPAN)様の「MoZ-Roller(モッズ・ローラー)」を部材として準備して、(惜しげもなく)バラバラに分解してみました!ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!

自転車では前後輪を3本のローラーに乗せてドライブしますが、ハンドバイクの場合は前輪(駆動輪)のみをローラーに乗せて回す形となります。
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
ローラー台にハンドバイクで乗り込むために、アルミ縞鋼板を用いてスロープを製作します。
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
スロープの勾配は、無理なく登れて、かつあまり長すぎて場所をとらないように考え、10度前後の角度を目標としました。
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
プラズマ切断機を使い、スロープのサイド部分の材料を切り出します。
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
無骨に切り出した材料を徐々に整形していき、それっぽい形に仕上げました(笑)
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
イフの十八番であるアルミTIG溶接で、走行面と側板部分を寸分違わず接合します。
アルミ溶接作業
側板の地面に設置する部分にはU字ゴムを装着できるように段取りをして…
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
走行面の乗り入れ部分には、厚めのゴムシートを貼り付けできるように段取をして…
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
アルミTIG溶接が完了したスロープにそれらを装着し、細かい仕上げ作業を終えて仮完成です!ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
MINOURA JAPANの「MoZ-Roller(モッズ・ローラー)」は、不要部分を大胆にカット!
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
旋盤加工で数点の小部品を製作していきます。
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
これは、ローラー台に昇降用スロープを設置するために製作したシャフト部品です。
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
スロープの横部分に設けた切り込み部に、先程のシャフト部品がぴったりハマってスロープがしっかり固定される仕組みとしました。ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
それっぽい形に製作した側板部分は(実はかなり計算されていて)このようにローラーと絶妙なクリアランスを保つように作られています♪
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
仮組みしたローラー台にスロープを設置して、ハンドバイクをセットしてみました!
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
あら・・・計算ミスで側板の返し(転落防止)の先端がちょっと高いようで、ローラーの上をタイヤが左右に移動すると干渉してしまいました(汗)ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
こんなもんだべ(←北海道弁)と、マーキングをして・・・
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
スパッと切り落とし、角を丸めて仕上げをして・・・ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
じゃ〜ん!スロープ部分の完成です♪ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
当初考えていたローラーの間隔では少々不安定と判断し、より安定性を求めて広げることにしました。
株式会社 箕浦(MINOURA JAPAN)様の「MoZ-Roller(モッズ・ローラー)」を部材として活用して製作してハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作
一旦、ローラー台を分解して・・・
株式会社 箕浦(MINOURA JAPAN)様の「MoZ-Roller(モッズ・ローラー)」を部材として活用して製作してハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作
若干の加工を施して再組付!
株式会社 箕浦(MINOURA JAPAN)様の「MoZ-Roller(モッズ・ローラー)」を部材として活用して製作してハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作
バッチリ!ローラーの間隔が広がりました♪
株式会社 箕浦(MINOURA JAPAN)様の「MoZ-Roller(モッズ・ローラー)」を部材として活用して製作してハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作
自転車であれば、元の狭い間隔が「650c・24インチ」で、変更後の広い間隔が「700c・27インチ」に適合するローラーセッティングであることから、16インチ車輪のシティ・コンフォートでは狭い間隔が適合するものとばかり思っていましたが・・・実際にドライブしてみると、ハンドリングと駆動を前輪ひとつで行うハンドバイク(ハンドサイクル)の場合は、より深い沈み込みがあった方が断然ドライブが安定することが解ったのです!
株式会社 箕浦(MINOURA JAPAN)様の「MoZ-Roller(モッズ・ローラー)」を部材として活用して製作してハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作
スロープの先端をカットしたことで、意図的にハンドルを左右に振ってローラーの左右幅を目一杯使った走行をした場合でも、スロープの先端に干渉することはなくなりました。
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
すべての本組み作業を終えて・・・

じゃーん!完成です♪ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
収納のことも考え、ローラー台本体と昇降用スロープを二分割としましたが、そのセットはとても簡単です♪
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
車いすにアダプタータイプのハンドバイクをセットした状態で、ハンドリムを操作しながら、ゆっくりスロープを走行してローラーに車輪がハマる位置まで進むだけでセット完了です。
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!※あれこれ試した結果、ハンドバイクのクランクハンドルを駆動してスロープを登ると、どうしても勢いがついてしまい、ローラー台を乗り越えてしまうことがあったため、車いすのハンドリムを漕いで車いすを移動させてジャストな位置で停車させるのがスムーズでした♪

ハンドバイクの駆動輪がローダー台にセットされたあとは、車いすのブレーキをしっかりかけて、トレーニング開始です!!
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
木戸口(きどぐち)チーフメカによる本気モードのシェイクダウンテスト!
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
annちゃんにも試運転をしてもらい、OKをいただきました(笑)
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
翌日、完成報告を受けて、さっそくS様が仕事帰りにイフに来店していただき初ドライブ!
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
オーバーラン(ローラー台から落ちる)ことなく一回で乗り込み、さっそくクランクハンドルを回し始めるところは流石でした!
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!
今回、ローラー台を製作するにあたり、単純な筋トレや有酸素運動だけを目的とするのであれば、ローラーの横幅を半分くらいに切り詰めて短くし、ハンドルが振れないように支柱を立てるなどしてハンドバイクを固定してしまう方法もあったのですが、敢えて長いままのローラーを用いることで、左右のハンドルを均等に回すという自転車で言うところのペダリングスキルの向上にもなるように考えました。ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作しました!

広い横幅のローラーのおかけで、意図的にハンドバイクを左右に振って蛇行運転をしても(車いすのブレーキさえしっかりかけておけば)横に落ちる心配はまったくありませんでした。

S様、すっかりサイクルトレーナーの楽しさに目覚めたようで、時間を忘れてクランクハンドルを回し続けて楽しんでいました(笑)株式会社 箕浦(MINOURA JAPAN)様の「MoZ-Roller(モッズ・ローラー)」を部材として活用して製作してハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)を製作

クリスマス・イブの夜にサイクルトレーナーを納品することができ、これで紅白歌合戦を見ながら家の中でトレーニングができますね〜とのこと♪

年明けにスリムになったS様にお会いするのを楽しみにしていますと・・・プレッシャーをかけさせていただきました(笑)

ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)テスト
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)テスト
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)テスト
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)テスト
ハンドバイク用のローラー台(サイクルトレーナー)テスト
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(2020.7.1 追記)

この度、S様がハンドバイクを売却することになり、それと合わせてローラー台もリユース商品として掲載させていただくことになりました。「イフ製、ハンドバイク用ローラー台(サイクルトレーナー)【リユース】 」の詳しい製品情報はこちらをご覧ください。

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