車いすタイヤ&キャスター事例

22インチの「ブラックタイヤ」をお探しの方への情報提供です♪

22インチの「ブラックタイヤ」をお探しの方への情報提供です♪

2021年8月5日に、イフのInstagramへ「MP A-MAX Swing 」に「ヤマハJWX-1 PLUS+(車椅子用電動ユニット)」にブラックタイヤを履かせてセットアップしたお客様の車いすを投稿したところ・・・

 
 
 
 
 
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車いすのプロショップ「イフ」(@if_jp)がシェアした投稿

全国各地の方から、「簡易電動車いすでも黒いタイヤに替えることができるのでしょうか?」というメッセージを多数いただき、それぞれ個別に情報提供をさせていただいておりました。

そして昨日、コメント欄にも同様の相談がありました。

はじめまして!
子供用にヤマハの電動を取り付けた車椅子を作る予定なのですが、タイヤはグレーのものしかないといわれております。どのようにしてもらえば、黒いタイヤに交換できるのでしょうか?

すぐさま、返信コメントを書こうと思ったのですが・・・

かなり長い文章になってしまうことや、Instagramはリンクを貼ることができないため利便性も悪いこと、この22インチの簡易電動車いすに「ブラックタイヤ(黒いタイヤ)」を希望するニーズがそれなりにあると感じたことなどから、これを期に皆様のお役に立てるような “情報提供記事” を書こう!と奮起しました(笑)

車いすのタイヤサイズ

まずは基本的なところで、車いすのタイヤのサイズには、12インチから26インチくらいまでの[直径]のタイヤが存在します。

加えて、それぞれの直径に対して、数種類の異なる[幅]のタイヤが存在します。

さらに、車いす(自転車)のタイヤ寸法には、以下の4つの呼び寸法(表記)があり、同じ○○インチという規格でも互換性のあるものとないものが混在しています

ETRTO タイヤ幅[mm]-リム径[mm](ビード座直径)
ISO ETRTOと同じ(ETRTOの規格を採用)
インチ タイヤ外径[inch] x タイヤ幅[inch] x(必要に応じタイヤ高さ[inch])
フランス系 タイヤ外径[mm] x タイヤ幅[mm]
※フランス系の後ろのA,B,C,Dの記号は、リム直径を表す(Aは直径が小さく細幅、Dは広幅)

 

自走式の車いすや簡易電動車いすに採用されている[20/22/24インチ]タイヤの一例を抜粋しただけでも、下記の表のように複数の類似したサイズが多数ありますので、余程のマニアでなければ、これらを全て理解するのは困難です。

  ETRTO(ISO) インチ フレンチ
20″ 25-451 20×1.00
28-451 20×1_1/8
37-451 20×1_3/8 B.S.
37-438 20×1_3/8 500A
40-438 20×1_3/8 500×38A
22″ 25-489 22×1.00
37-489 22×1_3/8 NL
37-490 22×1_3/8 550 x 35A
550A Confort
550A Ballon
550A 1/2 Ballon
25-501 22×1.00 B.S.
32-501 22×1-1/4
37-501 22×1_3/8
40-501 22×1_1/2
47-501 22×1_3/4
24″ 20-540 24×3/4
23-540 24×7/8(24×1.00)
25-540 24×1.00
32-540 24×1_3/8
24×1_3/8 × 1-1/4
32-541 24×1_3/8 × 1-1/4 N4 600×32A
37-540 24×1_3/8
40-534 24×1_1/2
40-540 24×1_3/8 × 1-1/2

でも、安心してください!

お察しの通り、上記の表に黄色で表記した3つのサイズが、一般的な普通型車いすや、ヤマハJWX-1 PLUS+(車椅子用電動ユニット)に採用されているタイヤサイズとなりますので、これを参考にタイヤ選びをすることで、メーカー純正以外のタイヤを模索する選択肢がぐっと広がるのです♪

タイヤの色が黒い理由

次に「ブラックタイヤ(黒いタイヤ)」ですが、自転車や自動車だとタイヤは黒色なのに、何故か車いすの場合はグレー(灰色)が一般的です。

タイヤの色が黒い理由については、株式会社ブリヂストン様のホームページに詳しい説明がありますので、予備知識としてご参照ください。

タイヤはなぜ黒い色をしているのかご存じでしょうか?
それはタイヤに使われるゴムには、カーボンブラックと呼ばれる黒い炭素の粒が含まれているからです。

~中略~

それではなぜタイヤのゴムにはカーボンブラックが必要なのでしょうか?
それはカーボンブラックを加えることでゴムの強度を高めることができるからです。

タイヤが黒い理由 – タイヤのキホン – テクノロジー | 株式会社ブリヂストン より

対して、車いすのタイヤがグレー(灰色)という理由は、様々なサイトにも書かれているとおり、「タイヤに含まれているカーボンブラック(黒い炭素の粒)が、フローリングやタイルなどの床に “黒いスリップ痕” をつけてしまうため」というのが定説となっています。

また「車いすに使われているグレータイヤはカーボンブラックが含まれていないため、耐久性や耐摩耗性が低い」などとも書かれています。

もとい、車いすへのブラックタイヤを検討されている方は <見た目の格好良さを求めて!> というのが一番の理由かと存じますので、雑学程度にお知りおきください(笑)

車いすのブラックタイヤ

すっかり前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本題です!

車いすにブラックタイヤを履く場合、24インチ(25-540)であれば様々な選択肢があります。

代表的な製品は、自転車タイヤのブランドとして世界的に有名な、ドイツの「SCHWALBE(シュワルベ)」で、同社はこれまでの車いすタイヤにはなかった数々の革新的な機能と斬新なデザインを兼ね備えた高品質タイヤを各種ラインナップしており、ブラックタイヤもその一つとなっています。

尚、これらの SCHWALBE(シュワルベ)製品には <ブラックロール> という独自の技術が採用されていて、前述のタイヤ痕や耐摩耗性の問題を見事にクリアーしています。

<ブラックロール>
シュワルベが開発した車椅子タイヤ専用のコンパウンドで、ブラックタイヤでありながら、フロアにタイヤ痕を残さない特殊な技術を使用しています。ブラックタイヤはカラータイヤに比べて劣化が少なく、長期に渡る使用が可能となります。

番外編ですが、24インチ(37-540)であれば「スタッドレスタイヤ」などもございます♪

 

ブラックタイヤで問題なのは・・・今回多くの問い合わせが寄せられた、本記事のタイトルにもある22インチ(22×1_3/8)の場合です。

残念ながら、SCHWALBE(シュワルベ)では対応できる製品がありません・・・

マラソンプラス・リフレックス(ブラックタイヤの側面に反射ラインが装備された製品)で、22インチという規格が存在しますが、25-489(22×1.00)というサイズのため、一般的な 37-501(22×1_3/8)とは互換性がありません。

もし・・・エアタイヤではなく、ソリッドタイヤ(ノーパンクタイヤ)を候補に入れて、更にタイヤの幅(太さ)が若干細くなっても良いというのであれば、CEW社(アメリカ)製の「shox(ショックス)オールラウンド」が 25-501(22×1.00)のサイズで、黒色の設定がありますが・・・

交換作業が簡単ではないことや、タイヤの溝が少ないスポーツタイプであることなどから、使用環境などを含めた打ち合わせが必要となります。

他にもいろいろと調べてみたのですが・・・結果的に “車いす専用のブラックタイヤ” で、22インチの製品は存在しないという結論になってしまいました。

でも、そこで諦めるイフさんではありません!

自転車用のタイヤは黒色が多いんだから、それを流用する方法があるべ(←北海道弁)と閃きました。 

数年前の話しですが、イフの常連さんから「Rising Sun Rock Festival に簡易電動車いすで行くと、雨上がりの会場はぬかるんでしまって、まともに動けないんです・・・」「もっと悪路でもグリップするような太いタイヤはないものでしょうか?」という相談を受け、見つけ出したのがこちら ↓ の「足楽プロ」でした。

この「足楽プロ」は、日本の井上ゴム工業株式会社様(IRC)が、業務用電動アシスト自転車用のタイヤとして製造販売している商品で、一般的なタイヤより10mmほど幅が広くなったことで、悪路の走破性が劇的に向上しました♪

電動アシスト自転車用に開発されたハイスペックタイヤ「足楽プロ」を電動車いすに装着しました
電動アシスト自転車用に開発されたハイスペックタイヤ「足楽プロ」を電動車いすに装着しました
電動アシスト自転車用に開発されたハイスペックタイヤ「足楽プロ」を電動車いすに装着しました
ashiraku-pro-cs01
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ashiraku-pro-cs03
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装着後に職場などの屋内走行もテストしてもらいましたが、特に目立つブラック痕が床に残ることはなかったとのことで(走行する場所の条件により変わると思いますが)、屋内外で活用されています。

但し、今回この記事を書いている中で知り得た情報ですが、この「足楽プロ」は廃盤予定?になっているらしく、在庫限りという商品のようです。

もしくは、同じIRC製品で、少し幅の狭い(一般的なタイヤ幅に近い)「足楽」という商品がありますので、Amazonや楽天などの通販で購入する方法もございます。

また、主に屋外走行がメインという方(屋内外で車いすを乗り換えている方)などであれば、自転車用タイヤで探すと「サギサカ」や「シンコー」といったメーカーの、かなり安い価格の22インチ・ブラックタイヤがネット通販に出回っていますので、それらを利用する方法もございます。

2021年8月5日に、イフのInstagramに投稿したお客様の簡易電動車いすも、「サギサカ」の22インチのブラックタイヤをイフで用意して装着させていただいた事例でした。

22インチの「ブラックタイヤ」をお探しの方への情報提供です♪

これらの事例(方法)は、あくまで苦肉の策かもしれませんが・・・

本記事をご覧いただき、諸条件が合う方であれば、22インチでもブラックタイヤを履けるという可能性(方法)の一つとしてご参照いただければ幸いです。

情報共有のお願い

最後になりますが、これらの情報は 令和3年11月17日時点でイフが調べることができた情報ですので、他に何かしらの良い方法や製品があるかもしれませんし、この先々で新製品が出てくるかもしれません。

本記事をご覧になった方で、「他にこんな製品(方法)があるよ!」とか、「自分はこんな感じ(方法)でブラックタイヤにしました!」などの情報がございましたら、じゃんじゃんコメント欄に書き込んでいただき、皆で情報共有ができればいいなぁ。。。と思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。


(2023.3.20 追記)
ハンドバイクをお使いの方から、乗り心地の良いタイヤの相談を受けて調べていたところ、足楽プロはAmazonや楽天などのネット通販サイトでは、まだ継続して販売されているようでした。

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