カーボライフ ハンドリム「ゲッコ」をS様仕様に加工しました!
カーボライフ・ハンドリムの購入を検討されていた、宮城県にお住まいのS様のために、今お使いの「サージ LT」と「ゲッコ/ゲッコS」を比較した情報を書き記した活用事例記事はご覧になりましたか?
その後、個別にLINEでS様と打ち合わせを重ねた結果、使っている「サージ LT」は少し小さく感じていたということから、カーボライフ・ハンドリムは「ゲッコ 」に決定!
さっそく、オットーボック・ジャパン様に「ゲッコ」を注文し、数日後にイフに入荷してきました♪
こちら ↓ が、ドイツのカーボライフ社のハンドリム「ゲッコ」です!
って・・・あれ?(o゚ェ゚o)
1本しか入ってない・・・ (゚∀゚ ;)タラー
慌てて注文記録を確認したところ・・・ 完全に内藤の発注ミスで、2本オーダーしなければならないところを「1」と書いてしまっていました(泣)
こと、車いすのハンドリムは左右で同じモノを使うとは限りません(片側は不要とか、右と左でタイプを変えるなど)ので、カーボライフハンドリムなどは1本単位でオーダーすることができます。
イフの商品紹介ページでも “※価格は1本あたりの税別価格で、車いすの左右に装着する場合は2本必要となります” と、しっかり(自分で)書いているのに間違えてしまいました・・・皆さまもお気をつけくださいね(笑)
S様に平謝りしたうえで、急いでオットーボック・ジャパン様に追加注文をして、ようやく2本揃いました(汗)
側面に印字された「© GEKKO」のロゴが誇らしげで、発注ミスを癒やしてくれます(笑)
今回、S様からはゲッコハンドリムの[タブの穴調整]と[不要部分のタブカット]を依頼されました。
無加工で納品する場合は、オットーボック・ジャパン様からお客様宅へ直送納品させていただきますが、追加加工をご用命いただたいた場合は、イフで加工を施した後にお客様宅へお届けする流れとなります。
さっそく、急ピッチで(遅れを取り戻すべく)加工作業スタートです!
まずは、ゲッコの外周面に装着されている「シリコンバンド(シリコーングリップ)」を傷めないように、弱粘着のマスキングテープで養生(保護)します。
その上に、シーリング用マスキングテープ(伸びに強く、糊残りもしずらい)を贅沢に丸1本使って、ハンドリム全体をしっかり養生(保護)します。
ここで余談を少々・・・
カーボライフに限らず海外製のハンドリムに多い傾向ですが、届いた製品のタブ部分が(大なり小なり)曲がってしまっていることがあります。
お世辞にも丁寧とは言い難い梱包状態で、海外からの長旅に揺られている中で曲がりが生じるということもありますが、そもそもこのタブ部分は肉薄のアルミニウム合金(柔らかい材質)で作られているため、簡単に曲げることができる(曲がる)ようになっているとも考えられます。
これは、様々なタイプのホイール(多少の内径の違い)に対応させるための配慮?とプラス思考で考えています(笑)
反面で、松永製作所様のアクティブ車いすシリーズ「MP(Max Performance)」に採用されているハンドリム などは、肉厚のタブがMPホイールに合わせた寸法で配置されていて簡単に曲げることはできません。
そんな感じで、今回入荷したゲッコも例にもれず1本だけタブが内側に少し曲がっていましたので、手でちょいと押して正規な位置に修正しました。
手の力が弱い方や、装着するホイールに合わせた微調整をしたい場合などは、少し大きめの「モンキーレンチ」を使うと、楽にタブの角度を簡単に変えることができますので参考にしてみてください。
※お届けしたハンドリムのタブが曲がってしまっていた場合にも、これらを参考にして修正をお願いいたします
話しは S様のゲッコハンドリムに戻ります。
前述の 「サージLT」と「ゲッコ/ゲッコS」を比較してみました! の記事をご覧いただいたS様は、[タブの穴調整(穴加工)]で悩まれていました。
カーボライフ社の初期設定(推奨値)であるナロー側の穴位置(ハンドリム間隔で約12mm)も魅力的だが、「サージLT」から「ゲッコ」に変更した場合、車いすの全幅が15mmほど増えてしまうことを懸念されていたのです。
仮に既存のナロー側より内側に追加の穴を開ける場合、それぞれの穴が被らないようにするには[約6mm]ほど内側に穴をあける必要があり(※)、それをすると車いすの全幅は3mm程度の増加で収まる反面で、ハンドリムの間隔は約6mmとなり、ゲッコ・ハンドリムの効果は半減してしまいます・・・
※フライス盤という工作機械を駆使して穴加工を施せば、5mm以下の寸法で既存の穴と繋がった形で綺麗な追加穴を開けることが可能ですが、加工費用が割高となります
そこで、S様にご提案したのは追加の穴を開けるのではなく、既存のナロー側の穴を内側方向に2〜3mm程度「長穴加工」する方法でした。
そうすることで車いすの全幅増加を最小限に抑えつつ、ハンドリム間隔を9〜10mm確保して、ゲッコ・ハンドリムの効果が極端に損なわれないように配慮するのです♪
それぞれの一長一短を考えていただきながら、最終的にS様が導き出した答えは「2mmの長穴加工」でした!
計算上はハンドリム間隔はサージLTと同じ約10mmとなり、車いすの全幅増加は約11mm程度となる予定です。
ということで、[ディバイダー(スプリングコンパス)]を使って、ナロー側の穴から2mmの位置に目印をケガキました。
また、将来的にもワイド側の穴は使わないということから、余分なタブ部をカットすることに決まったため、その位置をざっくりマーキングをしました。
最後に、イフの秘密兵器である、あい・あーる・けあ の「ホイルソックス」 を用意し、それをハンドリムに被せて(完璧な養生をして)加工前の下準備が全て完了です♪
さあ!いよいよ加工作業の始まりです!
イフでは、この ↓ 写真のような[リューターの刃 ]や[軸付砥石 ]だけでも百本近くの様々なバリエーションを保有しています。
これら切削研磨機材のほとんどは、前職の HKS(エッチ・ケー・エス) 時代に所有していたもので、当時 レース用エンジンのポート研磨などを日常的に行っていた名残りなのです(笑)
特に内藤は、マツダ RX-7 などに搭載されていた「ロータリーエンジン」の “サイドポート加工” や “ブリッジポート加工” などが大好きで、0.1mm単位の研磨技術を十八番としていました♪
それ故に、2mmという大雑把な(笑)長穴加工などは楽勝 v(o゚ェ゚o)ピーチュ ♪ で、テーパー型の大きめな超硬バーでザクザク削っていきます!
とはいえ、調子に乗ると削りすぎてしまうため、適時にデジタルノギスで切削量の確認は怠りません(笑)
荒削りを終えたあとは、刃先の細い超硬バーで、綺麗な楕円形の長穴に仕上げます。
最後に[回転リーマ ]でバリを除去して長穴加工は完成です。
ジャスト「2mmの長穴加工」が完了しました♪
続いて行う[不要部分のタブカット]には、Snap-on(Blue-Point)の「3インチ カットオフツール – AT157A」を使います。
カッティングツールと言えばAC電源で100mm径のディスクを駆動する「ディスクグラインダー」が一般的ですが、この「AT157A」は直角に配置された3インチ(約76mm)のディスクをエアモーターで回転させるエアツールです。
操作レバーの握り量で回転数を無段階で調整でき、キックバックも少ない「AT157A」は、狭い場所や細かい切断加工に最適で、ハンドリムのタブカット作業でも大活躍です♪
あっという間に12箇所のタブ切断が終わりました!
続いて、20mmのベルトサンダーで切削部分をR状に整形します。
大雑把にR状に仕上げた後は、10mmのベルトサンダーでその形状を整えます。
最後に小型のエアーサンダーで綺麗に面取り仕上げを施して・・・
タブカット作業が完了です!
仕上げは自動車用のボディタッチペンで切削部分を黒色に塗って全ての加工作業が終了しました♪
養生のためのマスキングテープを全て外します。もちろん、ハンドリムには一つの傷もございません♪
じゃ~~~ん!完成です!!
ハンドリムをホイールに装着する際、ホイール側にハンドリムを押し付けながらネジを締めていただくと、リム間隔は約10mmにセットされ、逆にホイールから離しながらネジを締めていただくと、カーボライフ社の初期設定である、リム間隔12mmにセットすることができるようになっています♪
何はさておき、大急ぎで梱包作業を行い、S様宅へ西濃運輸で出荷させていただきました!
イフ(北海道帯広市)から宮城県までは、配達に中二日くらいの日数がかかります。
S様への加工作業内容のご報告を兼ねて、その様子を赤裸々に書かせていただましたが・・・
この加工事例記事を書き上げて公開するのが先か? S様宅にハンドリムが届くのが先か? (笑)
どちらも楽しみにしていてください(笑)
それではS様、引き続き諸々どうぞよろしくお願いいたします \(^o^)/
(2021.4.27 追記)
S様仕様に加工した「ゲッコ」がご自宅に届いて早々、ご自身でハンドリムの交換を無事に(作業中にホイールに装着されていたエビナットが外れるというハプニングもありましたが ^^;)終えたS様から、一週間ほどゲッコをお使いになられた感想が届きました♪
「サージLT」と「ゲッコl」の比較(感想)を、詳細&率直に書いてくださり、とても参考になりましたので(S様の承諾を得て)皆さまにもお伝えさせていただきます。
ゲッコの感想です!
最初の頃はサージLTより大きいので慣れるまで違和感がありましたが、慣れてからはとても手にフィットして握りやすく、サージLTよりいい感じだと思いました!
リム間隔は10mmの方しか試してないですが良い感じで、これより狭いと握りづらくなるかなぁ…と感じるので、今がベストです♪
ただ、車いす全体の幅が広くなったことにまだちょっと慣れていません(笑)
ゴムのグリップ面ですが、サージLTと比べるとグリップ力が弱く、拭いてもすぐゴミがつきます(笑)が、使ってくうちに変わっていくかもですね。
でも、サージLTのゴム部分は逆にグリップが強すぎて親指がボロボロになるのが気になっていたので、ちょうどいいです(笑)
坂を下るときにゴム以外の部分を抑える時サラサラしすぎてブレーキがあまりかからずちょっと怖いですが、これも使ってくうちにだんだん馴染んでくるのかと思います(笑)
あと、塗装ですが、ゲッコの塗装はすぐ剥がれるように感じます(笑)
でも、全体的に見て、ゲッコの方がいい感じです! トップスピードもゲッコの方が速いような気がします!
重さも最初は気になりましたが、少し経ったら気にならなくなりました!
家用の松永の標準ハンドリムになると、細すぎてめっちゃ持ちにくく感じます(笑)
S様からLINEで届いた感想を転載
S様、ありがとうございました\(^o^)/