以前、車いすの方が自ら運転する際に 「右側のスライドドアに車いすを収納する方法」の事例として、[トヨタ ラウム+車いす収納ローダー] や [日産 ラフェスタ+車いす収納ローダー] 等の “車いすを下からすくい上げる” 方法をご紹介しましたが、今回は “車いすを吊り上げて収納する方法” の改造事例をご紹介させていただきます♪
改造に用いた装置は、東京の株式会社オフィス清水様がスエーデンから日本国内に輸入販売している「カロリフト40」を活用させていただきました!
お客さまのお車は、日産ラフェスタ ハイウェイスター!
2代目(B35型)となるこの日産ラフェスタ ハイウェイスターはご存知の方も多いかと思いますが、マツダ・プレマシーのOEMであるため、基本的なメカニズムは同車そのものです。
ベース車は 7人乗りのため、立派なセカンドシートが装着されていますが、今回は3列目シートを残して2列目シートは取り外してしまいます。
※本来、一般の乗用車には “ISO-FIX(自動車の座席にチャイルドシートを固定する方式の国際標準規格)を2座席以上装備していること” という規定があるため、ただ単に座席を取り外してしまうと車検が通らなくなりますのでご注意下さい。
2列目座席を取り外して広く空いたスペースに、お客さまの簡易電動車いすを搭載するための「カロリフト40」を装着!
また「カロリフト40」は、最大40kgまでの車いすを電動で引き上げることが出来るので、人の手では乗せ降ろしが大変な30kg程度の重さがある簡易電動車いすの乗せ降ろしも楽々です♪
アームの旋回や折り曲げの操作は手動で行いますが、(後でご紹介する追加改造も相まって)とても軽く操作することが出来るので、まったく苦になりません♪
お客様の車いす(ヤマハ JWアクティブ:バッテリー込の重量 約31kg)を使った搭載イメージです♪
※実際にイフのスタッフが車いすで運転席へアプローチし、トランス(移乗)後に全ての動作を行っている模様を詳細に撮影した資料などもございますので、詳しく知りたい方は遠慮無くお問い合わせ 下さいますようお願いいたします。
いかがでしたか?
断片的ではありましたが、「カロリフト40」 の雰囲気は伝わりましたでしょうか?
このカロリフト40は、他にもいろいろな活用方法があり、この右側スライドドア以外にも、助手席側や、荷台部分等々、装着位置も使い方も可能性は無限大です!
またカロリフトシリーズは他にも「カロリフト90」「カロリフト140」「カロリフト600/6900」などといった性能の異なるバージョンもございますので、イフもしくは、輸入元である株式会社オフィス清水様へご相談していただければ幸いです。。。
・・・
と、完結してしまいそうな雰囲気ですが(笑)
イフのお仕事を赤裸々に公開!と銘打ったBlogですので、少しばかり製作途中の模様もお伝えいたしますね!
まずはこちら ↓ は、完成してしまうと床の下に隠れてしまっている部分ですが、、、トンテンカンテンと製作した、カロリフト40の土台部分です!(塗装前)
40kgまで対応の「カロリフト40」ですが、それを取り付けるためのベース部分は、その重さををしっかり受け止めるための強度を確保する必要があります。
このゴツイ土台は、体重○○kgの内藤がクレーンにぶら下がってもびくともしませんよ!
スロープ(擦り付け板)状の部分は、車いすの乗せ降ろしの際に前輪キャスターや大車輪が車両フロアに乗り上げるような吊り上げ位置だった場合でもスムーズに移動出来るようにしてあり、且つ、内装材と同じような生地を貼り付けて見た目の雰囲気にも配慮しました♪
カロリフト40の電動ウィンチを作動させるスイッチも、利用する方がどんな体勢でも操作し易いよう、カールコードリモコンを追加装備しました♪
このリモコンはリモコンホルダーに装着したままでも操作できますが、ホルダーから取り外し、手に持った状態でも操作することが可能です。
リモコン本体の裏側は磁石になっていますので、ドアやボディといった金属部分に一時的に貼り付けて使用することも可能です。
リモコンのカールコードの取出し位置は、移動してしまうクレーンアーム部などではなく、センターピラーにしっかり装着しました。
後付リコモンでコントロールするその電気回路も、国産の大容量リレーを使い、全てイフで新規に製作しましたので安心です♪
カロリフト40のアーム部分の旋回や折りたたみは手動で行いますが、重たい車いすを吊っている状態でも、軽く! 楽に! スムーズに! アームを自由自在に動かすことが出来るよう、イフ独自の マル秘改造も追加で施してあります。
但し、こちらは企業秘密にて悪しからずです(笑)
そして、車いすを吊った状態のクレーンアームがあまりにも軽く動いてしまうため(笑)、車いすを乗せ降ろしする際に隣接するボディの各所には、特殊な高強度の透明フィルムは貼りめぐらせ、ボディへのダメージを最小限に抑えるように配慮しました♪
透明すぎて見えづらいですね(汗)
ありとあらゆるところに貼りつけてあります。
車内でフリーになっている状態のクレーンアームを固定するためのベルトも製作!
そして、車いす側も、実はこのようにバラバラにして・・・
ミシン担当の内藤が、夜なべをして・・・
こんな、車いす側の吊り部分や・・・
こんな、クレーン側の吊り金具を製作しました。
最後に、完成したお車をお客さまに納車するにあたり、ひと目で使い方やポイントが解るような独自の取扱説明書を作成し、全ての作業が完了です!
これらの他にも、まだまだ細かい部分でいろいろな細工を施してありますが、まずは「車いすを吊って収納する方法」の一例を皆さまに知っていただければ幸いです。。。
最後まで読んで下さりありがとうございました!
(2014.4.20追記)
無事に納車させていただき数日が経過した後で、お客様から「とても便利になって、非常に助かっていますよ!」という嬉しいご連絡をいただきました。
と、同時に「体調がすぐれない時は、車いすを折りたたまないでそのまま積むことは、矢張り出来ないものだろうか?」というご相談がありました。
実は、今回の改造相談を受けた当初は、車いすを折りたたまない状態で乗せ降ろしする構想で、各部の採寸や設計をして進めていましたが、実際に新車のラフェスタと一緒にお預かりした、新しく作ったという電動車いすを拝見すると、その車いすの肘掛けが可動式(跳ね上げ+高さ調整式)になっていることが判明し、それを断念した経緯がありました。
車いすを製作した業者様との行き違いがあったらしく、当方からの <車いすを折りたたまないで収納するためには、アームレストは固定式にして下さい> という要望が通じておらず、JWアクティブ(完成車)がそのまま来てしまったため、肘掛け部分の破損の可能性が高いため断念せざるを得ないという状況だったのです。
その代わりに、”車いすをたたむ動作” は、クレーンで車いすを引き上げる際に自動的にたたまさるように製作はしたのですが、車から降ろした後のたたまれている状態の車いすを ”開く” という動作が、人工透析直後などの体力が落ちている状態ではなかなか難しいということでした。
そこで、本来はNGなのですが・・・ 比較的強度のとれる車いすのフレーム部分に装着する、専用の吊具を急遽製作し、車いすに無理が掛かっていないかどうかを随時チェックしながら!という限定条件付きで使用していただくことに相成りました。
車いす側の経年劣化などで脱落の危険性があるため、常用は出来ませんが、本当に体調のすぐれない時には、このように車いすを折りたたまない状態で搭載することが可能になりました♪
車いすと自動車
それぞれをちゃんと考え、マッチングさせることで、無理と諦めていたことが可能になることもありますので、車いす、もしくは自動車を買った後ではなく、それぞれを購入する前の段階で、イフに気兼ねなく相談していただくことをお願いいたします (^^ゞ