それは、一週間前の出来事でした・・・
内藤が、9年前ほど前に投稿したFacebookの写真 に、新しいコメントがあったことを知らせる通知が届きました。
そこには、以前、福祉車両や車いすの改造をさせていただいた、札幌のU様からの相談メッセージが書かれていました。
「ご無沙汰しております。もう9年前の投稿ですが、さすがですね。実はうちも年末にベッドを買い替えまして、似た問題で悩んで検索していたところ、またイフさんのこの投稿がヒットしました。これと同型のサイドレールの加工なのですが、相談に乗っていただけますか? よろしくお願いします!」
U様がご覧になった(検索でヒットした)のは、こちら ↓ のブログ記事です。
イフのブログは、ホームページのニュース記事(イフのブログ「新・イフの秘密基地」がリニューアルしました! )で書き綴ったとおり、自称 “バック・トゥ・ザ・フューチャー” といって、平気で 過去の日付 で 新しい投稿 をじゃんじゃんアップしています。
(※日々のお客様の作業を優先していてリアルタイムにブログを更新できないため、後日改めてブログ記事にした際に、実際に施工した日付を公開日として、記事を投稿した日を更新日として表示するようにしています )
イフの仕事は、その時に出会った一人ひとりのお客様と歩んだ “かけがえのないストーリー(物語り)” があり、たとえそれが10年~20年前の出来事であっても、昨日のことのように鮮明に覚えています。
同時に、イフの仕事は流行り廃れとは縁遠い内容であることが多く、それらは時間が経った現在でも皆さんのお役に立てる参考事例であると考え、全身全霊を込めて過去の記事を執筆しています。
それ故に、このU様からのメッセージは、内藤がブログに込めた想いが届いた(過去のイフの事例が、時を経て、お客様のお役に立った)、とても嬉しい瞬間だったのです!
さておき、肝心のU様からの相談ですが、その後、個別にMessengerでやり取りさせていただき、具体的な困りごとの状況や、希望するベッドサイドレール改造のイメージなどを詳しくお聞きしました。
U様の希望は、とてもシンプル&明確なもので、それを的確に伝えるための端的な加工指示(注釈入り写真)まで作ってくださいました!
それを元に、不明点や疑問点を掘り下げてお聞きして、こちらの理解を深めながら、理想的な形状についての提案などをさせていただきました。
この「リモコンが落ちないように端を横に伸ばしたい」という部分は、ベッドのギャッチアップを起こしていくと “手がリモコンに届かなくなる” という状況を、解りやすい写真で伝えてくださいました。
新たに導入したベッドは、パラマウントベッドの新製品「楽匠プラス 」で、スマートフォンでもベッド操作ができること(新しいベッドの導入に合わせて、Androidスマホも購入されたこと)などから、サイドレールに依存しない方法(サイドレールの加工はせずに、可動式のスマホスタンドを設置する)なども代替案として提案させていただきながら、お互いにディスカッションを重ねました。
堂々巡りをした結果・・・
U様が最初に希望された形でサイドレールを改造するのが最も理にかなっている(笑)という結論に達し、加工作業を承らせていただくことに相成りました。
それから三日後・・・
U様から、使用中のベッドサイドレールが送られてきました!
通常であれば、作業予定を確保するために数週間くらいはお待ちいただくのですが、今回は年明け早々に入庫する予定だった新車の到着が遅れており、やるなら「今でしょ!」とばかりに(無理を言って)使用中のベッドサイドレールを外して送っていただいたのです。
パラマウントベッドのサイドレール(KS-161Q)は、本来は2本1組のセット販売なのですが、何故か1本しか納品されていないとのことで、サイドレールがない不便な状態を長く続けるわけにはいかないと考え、一日も早く加工を終えて返却するべく、急ピッチで作業を開始しました!
とは言え、いきなり ”ぶった切って“ しまうと取り返しがつかなくなるため、先ずは各部の構造を確認しながら、パイプベンダーで仮に曲げた部材などを用いるなどして、U様のイメージを具現化するための下準備を綿密に行いました。
その後、U様に数点の確認をさせていただき、方向性が確定したことを受け・・・ざっくり(バッサリ)行かせていただきました(笑)
はい、ご覧のとおり、もう後戻りはできません、、、
木戸口(きどぐち)チーフメカニックは、躊躇なくどんどん切り刻んでいきます・・・
同時進行で、パイプベンダーという機械を使い、新たに増設する部分のパイプを製作。
切断した端部は、パイプの接合部がしっかり密着するように整形をしていきます。
作業は順風満帆に進行し・・・た、わけではなく、途中でハプニングもありました(汗)
リモコンを引っ掛けて移動させる延長部分は、U様のイメージでは カットした不要部分をサイドレールの端に追加(溶接)する形 でしたが、それでは溶接した繋ぎ目ができるだけではなく、余計な縦パイプも残ってしまい、リモコンのスムーズな横移動の妨げになると考えました。
そこで、サイドレールの上部をバッサリ切断して、新たに製作した1本物のパイプを設置する手法を取ることにしたのですが、問題はその切断位置でした。
通常は、元の形状を残しつつ、そこに新たなパイプを増設(溶接)し、空いた穴にはメクラ蓋をするのが一般的な加工方法ですが・・・
仕上がりの美しさ(違和感の無さ)を重視して、少し多めにカットしたところ・・・
元の形(テンション)を保つことが出来なくなったサイドレールが、グニャグニャに変形してしまい、めちゃくちゃ焦りました(汗)
(あまりの焦りに、変形した状態の写真を撮ることも忘れていました)
慌てて修正すること数時間(汗)、なんとか元の形に戻しながら、新たなパイプ類を全て点付け(仮付溶接)することができました♪
その後、細かな歪みを修正しながら本溶接を施し、研磨機械で仕上げの処理も完璧です!
全ての溶接箇所は、TIG溶接でガッチリ強度を確保。ちなみに、元の溶接はロウ付け溶接が多用されており、それがいとも簡単に変形してしまった要因の一つでもありました。
全ての加工作業を終えた後は、サフェーサーを塗布して本塗装前の下地をつくります。
事前の打ち合わせで、安価なラッカー塗装(カラカラスプレーでの塗装)と、少し高価なウレタン塗装(自動車のボディ塗装などと同じ方法)の両方の御見積を提案しましたが、「長く使うものなのでしっかりした仕上げを希望します」とのことで、アイボリー色を調色(色を混ぜて作ること)して、ウレタン塗装を施しました。
1月の帯広は、外気温がマイナス15度以下という極寒にて、キュアマスター(電気乾燥機)で夜間もしっかり硬化を促進させました。
じゃ~ん!完成です!!
翌朝、完全硬化(乾燥)したことを確認し、梱包作業を経て、完成した(生まれ変わった)NEWベッドサイドレールを西濃運輸様に託しました!
そして翌日・・・
U様から「こんにちは!先ほど無事に受け取りました。純正品のような仕上がりで素晴らしいです!」「取り付けたところまったく違和感なく、右腕も伸ばせるようになりました。長年悩まされていた問題が解消されて、感謝感激です!」「リモコンが落ちる心配も無くなりました(笑)」という嬉しいメッセージと共に、さっそくお使いいただいている状況の写真が届きました♪
これで、ε-(´∀`*)ホッ と一安心です。。。
実は今回・・・ U様が、ICT(Information and Communication Technology)スキルに長けていたこともあり、Messengerでは数十回に及びメッセージのやり取りをさせていただきましたが、一度も(電話などで)言葉は交わしませんでした(笑)
そのような経緯もあり、┣¨キ(*゚Д゚*)┣¨キ していましたが、U様からいただいたメッセージと写真で安堵したのです。
もとい、U様からこれまでに届いた細やかで的確なメッセージの数々には、終始感謝しております。。。
ありがとうございました!
今回のやり取りは、内藤がブログに込めた想いが届いた(過去のイフの事例が、時を経て、お客様のお役に立った)、とても嬉しい出来事だったこともあり、U様に納品後の “レビュー(感想など)” を依頼したところ、想いのいっぱい詰まったメッセージをいただきましたので、そのまま転載させていただきます♪
ほとんどの電動介護ベッドのサイドレールが高齢者の事故防止のために頭側か脚側にしか取り付けられなくなっていますが、腕を少し動かせる頚椎損傷C5の私にとって、腕の可動域を制限されるこの規制には大変困らされておりました。
かと言って、サイドレールを付けないと、ベッドのリモコンを引っ掛ける場所がなくなり自分で操作できなくなったり、さらに地震が起きた時に身体をホールドできなくなったりの不都合があり、外すこともできず。
このような状況が10年以上続いていたのですが、これまではまったく別メーカーの形状がマシなサイドレールを無理やり取り付けて、何とか騙し騙し使い続けてきました。
しかし、いよいよベッドが毎日の過酷な使用に限界を迎えて新しいベッドに交換することとなり、サイドレールも純正を使わざるを得なくなった時に、あらためて不便さに直面することになりました。
幸いサイドレールは鉄パイプ製だったので、もうこれは不要部分をカットしてもらうしかないと思い、札幌市内でどこか切断溶接してくれる鉄工所はないかと探したのですが・・・個人の依頼を受けてくれるところはなかなか無く途方に暮れていました。
そこで検索条件を「札幌 溶接」から「サイドレール 加工」に変えたところ、なんと同じサイドレールを見事に延長していた イフさんのブログ記事 がヒットしたのです!
イフさんには以前にも自動車の改造や車椅子のフットレスト拡張でお世話になっており、技術力の高さには疑問の余地がなかったので、サイドレールの写真を加工して「こんな感じにできますか?」と問い合わせたところ・・・ 一週間後には想像以上の美しい仕上がりで出来上がっていました(笑)
その間のやり取りはブログ記事で確認できると思いますが、なにせこちらの意図を一つ言えば、十わかってくれるので、安心してお任せできました。
おかげさまで、今は快適に過ごせています♪
ただ、イフさんの唯一の難点は、帯広は遠い(笑)・・・いつか札幌にも支店を出してくれることを切に願っております。
この度は長年のストレスを解消していただき本当に助かりました。ありがとうございました。
札幌市 U様より
こんなにも素敵な “レビューコメント” をいただき、まさに職人冥利に尽きるばかりで、このお言葉を糧にして益々頑張らねば! 奮起させていただきました。
U様からは「このサイドレールに悩まされているのが自分だけとは思えませんので、多くの人に知ってもらえたらいいですねー」というコメント(お気持ち)も添えられておりました。
しかしながら、(大変恐縮なのですが・・・)このようなベッドサイドレールの加工などは、イフのお客様だけの【特別なサービス】とさせていただいております。。。
ベッドサイドレールや介助バーなどは、パラマウントベッド様のホームページにも随所に[注意喚起]がされているとおり、使い方を誤ると重大な事故に繋がる恐れがあります。
▼ベッドサイドレール、介助バーに関しての注意パラマウントベッド株式会社 – PARAMOUNT BED
https://www.paramount.co.jp/news_product/detail/31
それ故に、見ず知らずの新規のお客様の場合は、どのような使い方をされるか把握するのが容易ではないため、リスクを伴うことからお断りさせていただくしかないのです・・・
これが、U様のように、過去にイフで福祉車両や車いすの製作や改造をさせていただいたことのある方であれば、それまでの関わりの中で、お体の状況や、性格、考え方などを理解し合っているため、二つ返事でお受けすることができるのです。
万人向けのサービス(ベッドサイドレールの改造)ではございませんが・・・いつの日かまた、このブログ記事をご覧になった “イフのお客様” が「俺も(私も)困ってたんだよね~」という要望がありましたら、誠心誠意対応させていただきますので、お気軽にお声掛けくださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。