「タンク(TANK)」は、デザイン違いの姉妹車「ルーミー(ROOMY)」と同時にトヨタ自動車が、発表・発売したトールワゴン型のコンパクトカー(小型乗用車)です。
機能子会社であるダイハツ工業が開発した「トール」をベースにOEM供給されているモデルで、「タンク」は、トヨペット店とネッツ店での扱い、「ルーミー」は、トヨタ店とカローラ店での扱いになっています。
広々とした空間 “Living” と余裕の走り “Driving” を掛け合わせた「1LD-CAR(ワン・エル・ディー・カー)」をコンセプトとし、子育てファミリーをはじめ、幅広いお客様の日常にジャストフィットする、新しいタイプのトール2BOXで、乗り降りしやすいパワースライドドアやゆったりくつろげる室内の広さ、多彩なシートアレンジなど、ミニバンの持つ魅力をコンパクトカーに凝縮した人気車種です。
そんな使い勝手のよい「タンク(TANK)」をベースに、地元の ネッツトヨタ帯広株式会社様 からのご依頼を受け、車いすをお使いの方が、自ら車いすを楽に収納できるようにするため「カロリフト40」を、運転席側後方のスライドドア部に架装させていただきました。
事前の打ち合わせを経て、新車のタンクがイフにピットイン!
パワースライドドアが装着された広い間口のスライドドアは、とても使い勝手が良さそうです♪
今回は「カロリフト40」を、このCピラー(スライドドア後方の窓付近)に設置します。
作業前に各種の寸法を再計測し、さっそく分解開始!
内装トリムを分解すると、ボディの鉄板が剥き出しの状態に!
先行して入荷していた「カロリフト40」は、イフ独自のオプション加工である、アームの回転部分にベアリングを挿入したり、関節部分の曲がり角度を増やすなどの下準備を済ませてあり、それをタンクの剥き出しになったCピラーにあてがいながら、最適な設置位置を模索していきます。
カロリフト40が固定される部分には、現車に合わながら、10mm厚のごつい鉄板を、切ったり、曲げたりしながらボディに仮固定していきます。
エアーナッタ−という工具を使い、ボディ側には無数の取付けネジを埋設していきます。
カロリフト40を装着するための、専用ブラケットが徐々に形になってきました。
イフでは、カロリフトやピラーリフトを設置する際に、独自の技術基準をいくつか設けており、その中の一つに設置角度があります。この角度をどのように味付けするかで、実際にお使いになる時の操作フィーリングが大きく変わってくるのです!
仮取り付けされたカロリフト40は、オリジナルベアリングの効果や設置角度の適正化により、指一本で軽〜く動く(旋回する)のです♪
動作確認で問題が無いことを確認し、製作中のブラケットを車体から外し、仕上げ作業を行います。
同時進行で、こちらでは旋盤を使って何やらボス(スペーサー)を削り出しています。
削り出したボスを、鋼材を曲げた部材に溶接で固定すると、後付リモコンの取付部分が仮完成です!
下地処理を済ませた後は、いつものウレタン焼付け塗装を施します。
そして・・・完成したブラケットがこちらです!
大量生産ではない、まさに手作りの逸品ですよ♪
完成したブラケットを強化ボルトを用いて、車体側にガッチリと固定します。
内装トリムはブラケットと干渉する部分は大胆にカットして・・・
このようにスッキリ収めることができました♪
イフ独自オプションの後付カールコードリモコンでコントロールするその電気回路も、国産の大容量リレーを使い、全てイフで新規に製作しています♪
車いすを乗せ降ろしする際に隣接するボディの各所には、特殊な高強度の透明フィルムは貼りめぐらせ、ボディへのダメージを最小限に抑えるように配慮しました♪
透明すぎて見えづらいですね(汗)
じゃ~ん、(仮)完成~~~!
イタリア・KIVI製 車いす収納装置「ピラーリフト」 が、Bピラー(センターピラー)に装着されるのに対し、カロリフト40をスライドドア部分に装着する際は、Cピラー(リヤピラー)に装着するのがイフの定番となっています。
Cピラーにカロリフト40を装着することで、運転席の頭付近(Bピラー上部)に突起物(装置)が設置されないため、背の高い方などが座席を後方にスライドさせた状態でも快適に運転することができるのです♪
また、自由自在に曲がる2関節アームを有するピラーリフトの動きは魅力的ですが、逆に1関節のカロリフト40の方がそのアーム長(アーム全長)が長いため、最適な位置に設置することで、この写真 ↓ のように車外にアーム先端が充分にせり出すことができるようになり、車いすの吊り上げる初期段階でボディに接触するリスクを軽減でき、楽ラクと車いすを乗せ降ろしをすることができるのです♪
イフ独自オプションの後付カールコードリモコンは、いろいろなシチュエーションで使い勝手が良い位置ということで、運転席のヘッドレスト横に取り付けるためのブラケットを製作し、ここに装着しました♪
このカールコードリモコンは、トヨタのウェルキャブなどに使用されている使い勝手の良いリモコンで、これまで数々のカスタマイズで流用していましたが、残念ながら2019年に大幅に部品価格が値上がりしてしまいました(泣)
さておき、さっそくイフの(JINRIKI 取付アタッチメントが装着された)普通型車いすを使い、カロリフト40で吊り上げてみます。
カロリフト40は、その名のとおり、40kgまでの車いすを吊り上げる能力があるため、20kgにも満たない普通型車いすの吊り上げは楽ラクです♪
写真は意図的に、お客様が実際に運転する際のシートポジションを再現した状態(背が高い方のため、運転座席は少し後ろ気味にセットされています)で、運転席後部に車いすを搭載してみました。
かなりギリギリ(無理矢理?)収まっている感じは否めませんが・・・利用する方の身体状況や、車いすの仕様などによっては余裕が生まれる場合もあれば、逆に収まらないということも考えられます。
写真撮影用に、意図的に運転席を前方にスライドさせたり、背もたれを起こした状態にすれば、余裕で車いすが収納できている状態(雰囲気)をつくることも出来るのですが・・・それでは現実味がありませんので、ありのままをご覧いただいています。
このタンクのお客様は、ヤマハのJWX-1 PLUS+ が装着された簡易電動車いすを利用しているため、テストで使用した車いすより折りたたんだ状態の全幅が広く、このままのスペースでは収めることができません。
でも、安心してください!
実は・・・当初より、後部座席は取り外しする予定になっていて、その作業をする前に、記録的な意味合いで後部座席を残した状態の写真撮影をしていたのです(笑)
と、いうことで、最後の仕上げである、後部座席の取り外し作業を行います!
助手席後ろ(左側)だけを残すという選択肢もご提案しましたが、二人以上乗ることがないから運転席と助手席があればよいとのことで、後部座席は左右とも取り外しさせていただきました。
後部座席を外した後は、スッキリとした広〜いスペースが確保できました♪
じゃ~ん、(本)完成~~~!
カロリフト40を使った車いすの乗せおろしを連続写真でご覧ください!
後部座席を外した広々スペースは、楽勝で車いすを搭載することができるようになりました。
車いすと自動車
それぞれをちゃんと考え、マッチングさせ、このような素晴らしい装置(カロリフト40)を加えることで、いままで苦労していたり、諦めていたようなことが可能となる場合もありますので、車いす、もしくは自動車を買った後ではなく、それぞれを購入する前の段階で、イフに気兼ねなく相談していただくことをお薦めさせていただきます (^^ゞ