十勝の電動車いすアスリート「Yuske」君が、アメリカ製の電動車椅子サッカー専用マシン「Strike Force(ストライクフォース)」を導入したブログ記事はご覧いただけましたでしょうか?
その後、ストライクフォースは愛車のポルテには搭載できないため、福祉タクシーハートランド の杉山代表にご尽力いただき、管内での練習場所への移動や、所属する「Safilva(サフィルヴァ) 電動車椅子サッカー 」の練習場所である札幌や岩見沢にJRで移動するために自宅と帯広駅の行き来などをサポートしてもらっていましたが、もっと自由に、もっと沢山、練習や大会に自らの力で行くことができるようにしたい!というYuske君の強い希望から、この「Joey Lift(ジョーイ・リフト)プロジェクト」はスタートしました。
クルマ好きのYuske君との車選び
Yuske君とイフの付き合いは長く、2011年に自動車運転免許を取得するサポートから始まり、2012年には初の愛車となるトヨタ・ポルテの改造作業やオーダーメイド車いすの製作などをさせていただき、その後もポルテへのカロリフト40(車いす収納装置)の追加架装 、簡易電動車いすの製作などで関らせていただきながら、車いすスラロームなどではコーチ役をお願いするなど、持ちつ持たれつの仲間としての関係を深めていました♪
そんなYuske君は、実は(最近の若者には珍しく?)無類のクルマ好きで、愛車のポルテもセンスよく仕上がっていましたが、次に乗るクルマはスバル・インプレッサにしたい!と希望していて、カロリフト40を装着するために、後部ドアはスライドドアに改造して。。。などと、一緒に盛り上がりながら話しをしていました。
そんな彼の口から「インプレッサはもう少し後にして・・・まずはストライクフォースを自分一人で搭載して移動(行動)できるクルマを最優先に考えたいです!」という言葉が出たのは昨年の夏頃でした。
そこから様々な方法をYuske君と一緒に模索しながら、新たな愛車となる車種選びを考え、数々のシミュレーションと打ち合わせを重ねました。
コンパクトな車種との相性も良く、最大181kgの車いすを吊り上げることができる、クレーンタイプの車いす収納装置「カロリフト6900 」が当初の最有力候補でしたが、簡易電動車いすに座った状態のYuske君が、重たいストライクフォースを吊り上げた不安定な状態で、荷室に載せおろしするのはかなり不安…ということで見送りとなりました。
自動車メーカー製のスロープ仕様の福祉車両の購入も検討しましたが、自らストライクフォースに座って乗り降りすることが目的ではないので(ストライクフォースだけを積むのは困難)却下…
後付することができる車いす昇降リフト装置の場合は、コンパクトな半自動タイプ(ライラックリフト、和光工業・Kリフト など)は、介助者がいることが前提のためNG…
全自動タイプの車いす昇降リフト装置(和光工業・Gリフト など)は、取り付けできる車格がミニバンやフルサイズバンになってしまうため、Yuske君が運転席へ乗り降りするのが困難なため除外となりました…
Joey Lift(ジョーイ・リフト)との出会い
そんな試行錯誤の中、ブラウンアビリティ(旧、オートアダプト)のサイトを閲覧していると・・・
「Joey Lift(ジョーイ・リフト)」という見慣れない製品が目に飛び込んできました!
アメリカ合衆国の中西部のウィスコンシン州に本社を置くBRUNO(ブルーノ) と、スウェーデン南部のスタンクーレンに本社を置くブラウンアビリティ(旧、オートアダプト) がプロデュースするこの「Joey Lift(ジョーイ・リフト)」は、ミニバンやフルサイズバンなどの車両に、電動車いすや電動スクーターを搭載することに特化した、世界でも他に類を見ない素晴らしい製品で、まさに今回のプロジェクトにはうってつけでした!
日本では正式に流通していない製品でしたが、ブラウンアビリティとのパートナーシップ契約を締結している 株式会社オフィス清水様 に事情を伝えて相談したところ、「イフさんであれば全く問題ないので、必要とあらばいつでも日本に輸入しますよ」とのありがたいお言葉をいただき、具体的にジョーイ・リフトの活用を前提とした車種選びをすることになりました。
ジョーイ・リフトと相性の良いクルマは?
ジョーイ・リフトを搭載するためのクルマ選びは、Yuske君チョイスで「トヨタ・シエンタ」が自分好みにカスタマイズできそうという理由で第一候補にあがりました。
シエンタの広いラゲージスペースはジョーイ・リフトとの相性もバッチリで、運転席側のスライドドア部分にもカロリフト40を同時装着して、普段使いの簡易電動車いすを搭載する充分なスペースを確保できそうです♪
が・・・ここで重大な問題(悩み)にぶつかりました。
ジョーイ・リフトをラゲージスペースに搭載するためには、その奥行寸法が最低120cmほど必要となります。その寸法をシエンタのようなコンパクトカーで確保しようと思うとセカンドシートを外さなければならず(もしくは、セカンドシートを格納したままの状態)、そうすると二人乗りのクルマになってしまうのです。
プランニング当初は「ストライクフォースを自分一人で搭載して移動(行動)できるクルマを最優先に考えたい」と思っていたYuske君も、プランが具体化していく中で・・・「やっぱり、後席にも人が乗れて、皆でワイワイ移動できるクルマがいいなぁ」となり、悩みに悩みまくった結果、以下の4点を必須事項として、これを全て満たすことができるクルマ選びを改めて進めることになりました。
1.ジョーイ・リフトでストライクフォースを搭載できること
2.カロリフト40で、普段使いの簡易電動車いすを搭載できること
3.乗車定員は最低4名確保できること
4.自分で運転席への乗り降りができること
その後、この4つの条件を満たすクルマ選びは、かなぁ〜り難航しました(汗)
自動車メーカーの垣根を超えて、ほぼ全ての国産車のラゲージスペースの寸法を調査するも、ことごとくNG・・・サイズ的にOKな車種であっても、運転席のポジションが高いためYuske君が乗り降りが難しくNGと、八方塞がりの状況が続いていたある日、Yuske君から「ホンダ・オデッセイってどうでしょう?」という連絡が入り、調べてみたところ何やら良さげな感じが!
職場の同僚でオデッセイに乗っている人がいるとのことで、それを見せてもらいイメージを膨らませるのと同時に、イフがいつもお世話になっている Honda Cars 釧路 帯広西19条店(東北海道ホンダ株式会社) 様にも事情を伝えて相談に乗っていただき、実車があれば細かい寸法計測などをさせていただくように依頼しました。
諸々の検証を経た結果、この「ホンダ・オデッセイ(RC1/2型)」は、Yuske君の4つの条件を全て満たすことができる素晴らしいクルマであるということが確認でき、これ(オデッセイ)で行こう!ということになりました♪
唯一の(でも、最大の?)ネックとしては、新車価格がとても高価なため、改造費用なども加えると予算オーバーとなってしまうことから、当初は新車購入を考えていたYuske君でしたが、そこは妥協して、程度の良い中古車を Honda Cars 釧路 帯広西19条店(東北海道ホンダ株式会社) 様に探していただくことと相成りました。
待ちに待ったオデッセイがイフに到着!
それから暫く経ったある日、ピカピカのホンダ・オデッセイがイフに入庫してきました。
Honda Cars 釧路 帯広西19条店(東北海道ホンダ株式会社)様が見つけてくださったのは、オデッセイ 20周年特別仕様車「ABSOLUTE・20th Anniversary」 という素敵な希少車でした♪
遡ること一ヶ月ほど前、JOEYの文字が書かれた、大きな荷物がイフに届いていました!
Yuske君が希望する仕様の中古車(オデッセイ)を探してもらっている最中、クルマが見つかってから部品をを発注したのでは、更に時間が経過してしまうと考え、打ち合わせの末、ジョーイ・リフトを先行発注していたのです!
バラバラ状態で入荷した部品を一つずつ組み立てながら、ジョーイ・リフトの構造を隅々まで確認しながら、理解&勉強をしましたが、随所に見られる素晴らしい創りには感動の連続でした!
仮組み立てが完了し、それっぽい雰囲気になったジョーイ・リフトが、クルマの到着を首を長くして心待ちにしていました(笑)
そんな準備万端な状態で、入庫してきたオデッセイでしたので、すぐさま改造作業に着手しました。
このオデッセイは4WDの8人乗り仕様だったため、セカンドシートはこのような3人掛けのベンチシートタイプでした。
オデッセイの三列目シートは車両後部の床下に格納することができる仕様ですが、ジョーイ・リフト搭載にともない使用できなくなるため、格納したままとするか?外してしまうか?を実車を見ながら検討した結果・・・
空いたボックススペースが小物入れになりそうということや、少しでも軽量化を図るという意味合いもあり、全て綺麗さっぱり取り外させていただくことにしました!
内装トリム(内張り)も外されて、ボディの鉄板が剥き出しの状態になったオデッセイを見て、Yuske君の驚きの反応は期待通りでした(笑)
カロリフト40をセットアップ
真っ先にジョーイ・リフトの搭載をしたいところでしたが・・・最短で全ての改造作業を終えるための段取り(流れ)として、先ずはカロリフト40を仮装着するために、その土台部分の製作に着手しました。
ボディ側の固定部分を考慮しながら、分厚い鋼板を切り出して成形し、曲げたり溶接したりしながら徐々にカロリフト40の土台部分を製作していきます。
エアーナッタ−という工具を使い、ボディ側には無数の取付けネジを埋設していきますが、サイドカーテンエアバッグシステムの構成部品などが隣接している部分だったため、作業はかなり難航しました(汗)
地味〜な作業は連日連夜続きました。いかんせん、100%手作りの一品物なので・・・
イフのデモ用のカロリフト40を仮取付して、その動きや土台の歪などをチェックします。
6mm厚のごつい鉄板を使ったにもかかわらず、カロリフトに40kg近い負荷をかけるとブラケット部分に好ましくない歪みが見られたので、角パイプを溶接して全体的な追加補強を施しました。
その後、全ての仕上げ作業を経て、ようやく完成したブラケットがこちらです!
大量生産ではない、まさに手作りの逸品ですよ♪
ブログで紹介する数枚の写真では、あっという間に完成〜♪ という雰囲気ですが、実際には事例もマニュアルも無いゼロからの創造作業のため、構想から始まり、型紙での雰囲気確認、材料となる鉄板を一枚ずつ切り出し、曲げ、溶接、確認、修正、検証、などといった地味〜な作業を数週間続けた結果、ようやくここまで辿り着いているのです。
カロリフト40に限らず、ただ車に装置を付けるだけで良いのであれば、あっという間に作業を終えることができますが、一人ひとりのユーザーに合わせて、よりベストな状態を目標として試行錯誤を繰り返すとどうしても時間が掛かってしまいますが、その先にあるお客様の笑顔をイメージしながら日々、全身全霊を傾けて頑張っているのでした。
サイトサポートシート製作
カロリフト40のセットアップ作業と同時進行で施工したのは、サイトサポートシートでした。
当初の打ち合わせでは「着脱式・可動タイプ」のサイトサポートシートを製作する予定でしたが、購入したオデッセイの運転席は電動シート仕様だったため、それを付けると座席横の操作スイッチにアクセスするのが難しくなってしまいます。
そこで、Yuske君と打ち合わせし、急遽「据置式・ボックスタイプ」のサイトサポートシートにプラン変更をして製作を開始しました!
Yuske君がサイトサポートシートを装着する理由は2つあり、ひとつは車いすから運転席への乗り降りを安楽にするためで、もうひとつは、サイトサポートシートに腰掛けながらカロリフト40を使って簡易電動車いすを載せおろしを行うためでした。
そのため、サイトサポートシートに座った状態で地面に足がしっかり着くことが必須条件となるため、通常よりいくぶん低めのポジションで試作品を作り、試乗時に若干の高さ調整が行えるような段取りをしてYuske君に来店してもらいました。
試乗の結果、車いすからサイトサポートシートへの移乗は楽勝で、そこに腰掛けた状態で、カロリフト40を操作して簡易電動車いすを収納する動作もバッチリ楽々安定して行うことができました♪
が・・・
なんと!そのサイトサポートシートから運転席への移乗が(高低差がありすぎて)難しく、Give up( ・´_`・ ) してしまったのです(汗)
サイトサポートシートが無い状態だと、無理矢理に近い感じですが、車いすから運転席への移乗は出来ているのですが、サイトサポートシートを装着して、そこに一旦腰掛けてしまうと、そこからのプッシュアップ動作が難しく、何をどうやっても運転席に移動することができませんでした(泣)
普段の慣れた動作をするYuske君はとても身軽ですが、今回の動作を見る限りでは慣れてどうにかなるものではないと判断せざるを得ず、(お互い焦りながら・・・)あーでもないこーでもないと、メイク&トライを重ねました。
結果、サイトサポートシートの座面高を見直し、車いすからの移乗と、運転席への移乗との両方が無難にできる高さを見出すことができ、その高さを再現した再試作品を製作して、リベンジ(再試乗)することになりました!
数日後、高さを修正し、端部を緩やかに面取りした形状の再試作品が完成し、再度 Yuske君に仕事帰りに立ち寄ってもらい、リベンジマッチを行いました!
結果、移乗については(なんとか)バッチリな感じで乗り降りすることができることが確認でき、後は慣れの問題だねっ、とお互い一安心♪
したのも、つかの間で・・・
今度は、そのサイトサポートシートの高さでカロリフト40を使って簡易電動車いすを載せおろしする動作に不安が発生(汗)
足がしっかり地面に着かないことから不安定な体勢となり、辛うじて車いすの載せおろしは出来るものの、お世辞にも安楽とは言えず、むしろ辛いとのこと(泣)
そこで足を乗せることができる台を試しに置いてみるとバッチリ安定することが確認でき、それを踏み台的なもので簡易的に済ませるのか?補助ステップのような車両側の追加装備で対応するのか?悩んだ結果・・・毎日何度もする乗り降りなので、そこは一年を通じで安心して使えるものが良いということで「小型汎用補助ステップ」を運転席側に追加装着させていただくことに相成りました!
その後、高さと形状が確定したサイトサポートシートは仕上げ作業を実施し、後は生地張りをするばかりとなりました。(この生地張り作業が数週間かかるため、ジョーイリフトに先行して、これらの作業を進めていたのです)
いよいよ、ジョーイ・リフトの作業に着手!
運転席への移乗動作と普段使いの簡易電動車いすの搭載がクリアーできたため、次はいよいよ、ジョーイ・リフトの搭載作業を開始しました!
ハイエースやキャラバンなどの床がフラットな車両であれば、ジョーイ・リフトをドンと載せてそのまま固定するのですが、オデッセイの場合は、フロアが前方にかけて傾斜していることや、サードシートを格納するための大きな掘りこみがあることなどから、土台となるベースフレームを製作することにしました!
ベースフレームに用いた鋼材は、イフでオリジナルのヒッチメンバーを製作する時に使用する、肉厚が3mmもある異型角材で、ちょっとキャパシティオーバーかな?とも思いましたが、頑丈に勝るものはない!と考えそのまま採用しました(笑)
製作途中のベースフレームに、ジョーイ・リフトを仮載せして、細かい位置関係を煮詰めていきます。
ジョーイ・リフトとカロリフト40の作動用電源を車両側の生電源(常時12Vが流れている配線)から、汎用のヒューズボックスを介して、しっかり取り出します。
取り出した電源線を接続し、ジョーイ・リフトが問題無く作動するかチェックします。
全ての動作確認後は、各部の本固定を行い、内装トリムも取り付けして、ジョーイ・リフト完成!
(途中の作業工程は、かなぁ〜り割愛しましたことをご了承ください(笑))
構造等変更検査
登録を受けている自動車について、車両の長さ、幅、高さ、乗車定員、最大積載量、車体の形状、原動機の型式、燃料の種類、用途、等に変更を生ずるような改造をしたときは、使用者は使用の本拠の位置を管轄する運輸支局又は自動車検査登録事務所に自動車を提示して構造等変更検査を受けなければなりません。(国土交通省、自動車検査・登録ガイド より) |
今回のカスタマイズは乗車定員が変更になるため、ジョーイ・リフト搭載後に構造等変更検査を受ける必要があります。
いつもであれば全ての改造作業が完了した後で、帯広陸運支局へ車両を持ち込んで受験するのですが、追加で装着することになった補助ステップの部品が届いていないこと、カロリフト40は愛車のポルテから取り外して移設する必要があること(ポルテから外してしまうと、車いすの載せおろしができなくなる)などから、構造等変更検査を先行して受けることで、一日でも早く納車ができるように配慮した結果でした。
事前に改造申請書類を提出してあり、当日の検査でも 99.99999%は大丈夫だ(何も問題はない)と思っている構造等変更検査ですが、やはり検査ラインを通るときはいつも ┣¨キ(*´ェ`*)┣¨キ です。
結果は・・・無事に審査に合格しましたぁ〜〜〜♪
構造等変更検査合格の知らせを受けて、仕事が終わった後でイフに駆けつけてくれたYuske君には、ジョーイ・リフトの初操作を試してもらい、一緒に感動を分かち合いました(笑)
汎用小型電動補助ステップの取り付け
構造等変更検査に合格した数日後、注文していた「電動小型補助ステップ」が届きました♪
この補助ステップは汎用製品のため、オデッセイに合わせて取付するための部品を全て手作りする必要があります。逆に考えると自由な位置に装着することができるということになるため、既に完成してるサイトサポートシートとの位置関係を確かめながら、Yuske君が安楽に使えるようなポジションになるようにセットアップをしていきます。
トンテンカン(作業途中は模様は省略)と、完成したのがYuske君に合わせたベストな位置に「電動小型補助ステップ」が装着されるように作られた取付ステー(取付け用の部品)の数々です。
写真中央に見えるダンボールで型をとったものは、スプラッシュガードと呼ばれる、泥や雪避けの部品を製作するための型紙で、この後でEVAシートを型に合わせて切り出す予定です。
仕上げの塗装はいつものウレタン焼付け塗装を施しますが、車体下に装着する部品のため、最初に錆止め塗料を下地に塗ってから、その上に黒色の塗装を重ね塗りして万全の対策を施します。
運転席のドアの開閉に合わせて自動的に展開&格納する電動補助ステップはとても便利なアイテムです♪
ダッシュパネル下には補助ステップのON-OFFスイッチを配置し、スイッチOFFの時には補助ステップは作動せず、スイッチONにするとドアと連動して展開格納、さらには補助ステップが出ている時には赤いLEDランプが点灯してステップ作動中ということがわかるようにしています。
カロリフト40移設作業
2019年11月2日(土)と3日(日)に静岡県のエコパアリーナで開催される「パワーチェアーフットボール チャンピオンシップジャパン 2019」に、Yuske君が遠征するタイミングに合わせて愛車のポルテを預かり、いよいよカロリフト40の取り外し作業を実施しました。
ポルテは、イフで製作した 吊り下げ式の「左アクセルペダル装置」は残したまま、ご家族の方が引き続き乗られるとのことで、この先もまだまだ活躍するようです♪
カロリフト40本体と増設リモコンやハーネス(配線関係)は、新たな愛車となるオデッセイに全て移設して活用しますが、ポルテ専用にイフで製作した土台部分は余ってしまう予定でしたが・・・
グッドタイミングで、新たに自動車運転免許を取得したお客様が中古車のポルテを購入し、カロリフト40を装着するという話しになったことから、Yuske君からその方に譲り渡すことになりました♪
綺麗サッパリ取り外されたカロリフト40の構成部品一式。これが無くなるとYuske君はポルテに車いすを載せおろしすることができなくなるため、オデッセイの完成〜納車を急ぐため、全力でラストスパートをかけます!
カロリフト40 などの装置は、新たに購入(取付)する際には部品代が高価と感じるかもしれませんが、今回のケースのように、クルマを乗り換えても次のクルマへ移設することが可能なため、定期的なメンテナンスをしながら長く使うことが出来るのです♪
余談ですが・・・実は、イフで取り付けするカロリフト40は全て、その関節部分にマル秘の細工を施しているため、ただ付けただけの物とは段違いに使い勝手が良いのです! 今回のポルテ→オデッセイの移設は左右の向きが逆になるため、その細工をやり直します。
(この写真には、マル秘の細工は写っていませんので悪しからずです(笑))
下処理を終えたカロリフト40をオデッセイに仮装着!
Yuske君から預かった、今使っている簡易電動車いすと同型の車いすを使って吊り下げテストを実施。その後、若干の修正作業を加え、配線関係の作業を終えて、カロリフト40の移設作業は全て完了です。
ジョーイリフト、ストライクフォース対応改造
「パワーチェアーフットボール チャンピオンシップジャパン 2019 」を終えて静岡から戻ってきた Yuske君からストライクフォースをお預かりし、ジョーイ・リフトの最終調整&仕上げ作業を行います。
ジョーイ・リフトのオプショパーツである「ホイールチューブキット(タイヤ止め部品)」をストライクフォースの搭載位置に合わせて設置します。
仕上げの調整作業は順風満帆・・・といきたかったのですが、実はそうでなく、ストライクフォースの搭載位置と間口高さの制約に少々苦労しました(汗)
細かな対応作業をあれこれ積み重ねて全てクリアーしたのですが、例えば下の写真はジョーイ・リフトのプラットフォーム(床部分)の一部の曲げ位置とその角度をプレスブレーキを使って変更加工した状態です。
オデッセイのラゲージスペース部の天井は、左側が(天井内蔵シートベルトの関係で)少し下がっていて、車いすの背もたれ上部がギリギリの状態でした。ストライクフォースの乗せる向きが逆にすると楽にクリアー出来るのですが、Yuske君が簡易電動車いすに乗ったまま、ストライクフォースの右側についているジョイスティックを操作して、ジョーイ・リフトのプラットフォームに自分一人で載せおろしするためには、この向きである必要があったのです。
細かい仕上げも一切妥協することはありません
ジョーイ・リフトの設置は土台部分の製作から仕上げの収め作業に至るまで、ミリ単位の精度で作り込んでいます。
ジョーイ・リフトに限らず可動する装置というものは、使用過程での部品の劣化や歪み、ガタツキなどによる変化がおきるため、装置の構造をしっかり理解した上で、長年の経験を踏まえてその変化を見越した必要最低限の余裕をみてありますので、将来にわたってどこかが擦れてしまうようなことはありません。
ジョーイ・リフトの操作リモコンの裏側には磁石が内蔵されていて、製品付属の金属パーツを使って好きな位置に設置できるため、Yuske君が最も使いやすい位置にセットしました。
ジョーイ・リフトのオプショパーツである「バリアーベルトキット(車いすの脱落防止ベルト」はラチェット機構を使って固縛する仕組みですが、手指の細かい動作と力が必要な作りだったため、補助ベルトを追加装着して指を引っ掛けて引っ張ることでロック解除ができるように改良しました。
内藤の後頭部をご覧ください(汗) JUKIのコンピューターミシンを車内に持ち込み、バックゲートストラップ(リヤドアを締めるための補助具)を製作しています。
製作したカロリフト40の土台に合わせて、内装トリムを綺麗にカットし、露出した突起部分には全て緩衝材を装着し、更にテプラでコーションラベルを製作して至るところに貼り付けして注意喚起を促します。
車いすを乗せ降ろしする際に隣接するボディの各所には、特殊な高強度の透明フィルムは貼りめぐらせ、ボディへのダメージを最小限に抑えるように配慮しました♪
透明すぎて見えづらいですね(笑)
じゃ〜ん!完成です!!
「電動小型補助ステップ」と「据置式・サイドサポートシート」
スウェーデン・ブラウンアビリティ製 車いす収納リフト「カロリフト40」
電動車椅子サッカー専用マシン「ストライクフォース」のジョーイ・リフト搭載テスト
ジョーイ・リフトのプラットフォームと操作リモコンには「イルミネーション照明」が内蔵されていて、足元や手元を明るく照らして導いてくれます。
最終チェック と写真&動画撮影を終え、イフで行う作業は全て完了です!
後はホンダ様が引き取りに来るのを待つのみとなりました。。。
長い道のりを経て、待望の納車へ
改造を終えたオデッセイを Honda Cars 釧路 帯広西19条店(東北海道ホンダ株式会社) 様に引き渡しさせていただき、同社で外装の仕上げ作業を経て、いよいよ納車当日となりました♪
ホンダ様の納車タイミングに合わせてYuske君宅に同行訪問させていただき、改造部分の最終説明と確認をさせていただきました。
運転席への移乗動作はもちろん、ジョーイ・リフトやカロリフト40の操作などは改造作業中にイフで体験&練習済みのため迷うことなく使いこなしていました!
問題のストライクフォースの “初” 積み込みでしたが、なんと!一発で見事に決めてくれました!!
練習で体育館に行く時には普段使いの簡易電動車いすに乗って移動しながら、左手でストライクフォースのジョイスティックを操って体育館に連れていく(運んでいく)とのことで、こちらの想像を遥かに超えた見事なマシンコントロールでした! ヮ(゚д゚)ォ!
ジョーイ・リフトのプラットフォームにストライクフォースを載せたあとは、操作リモコンのUPボタンを押すだけで、後は車内への格納作業は全てジョーイがやってくれます♪
バックゲートストラップを使ってリヤハッチを閉める動作は、なかなか難儀でしたが、コツを掴むまで練習してみますとのことで、Yuske君に頑張ってもらうことになりました。
電動バックゲートの設定があれば良かったのですが、残念ながら設定が無いため、どうしても必要であれば 後付パワーバックドアユニット「Aハッチ」なども将来的には要検討かもしれません。
全ての操作確認を終えて、後は慣れと練習あるのみ!ということで・・・記念写真をパシャリ♪
ここ最近のYuske君の活躍は目覚ましいもので、8月に江別市で開催された「第20回北海道ボッチャ選手権大会」のBC1クラス(個人)では優勝して頂点に立ち、11月の「パワーチェアーフットボール チャンピオンシップジャパン 2019」でも注目されるプレイヤーとして高く評価されていました!
地元の仲間との交流も積極的で、パラスポーツ関係の講演会やシンポジウムなどでもシンポジストを見事に務めるなど、立派に成長したその姿を親心のように嬉しく思っています♪
そんなYuske君が、この新たな最強の愛車を手にして、更にアクティブに活躍して、大きく飛躍することを楽しみに願い、今後も微力ながらサポートさせていただきます。
゚。*★ガ ン (o`・ω・)o バ レ★*。゚
(2002.10.1 追記)
株式会社陸運情報社が発行する「陸運情報」の紙面に今回のストーリーが掲載されました!