皆さまは「電動車椅子サッカー」という競技はご存知ですか?
電動車椅子サッカーは、その名の通り “電動車椅子” に乗ってプレイするサッカーです(笑)
平たく言えば、自立歩行が困難な障害者でもプレイできる競技(サッカー)で、英語では パワーチェアーフットボール(Powerchair Football)、北米では パワーサッカー(Power Soccer)と呼ばれています。
電動車椅子サッカーの歴史は古く、フランスで1978年、アメリカおよびカナダで1980年に誕生したスポーツで、日本では1982年に北米でパワーサッカーと呼ばれていたこの競技をヒントに、大阪市身体障害者スポーツセンターにおいて始められたとされています。
チーム構成は男女混合でクラス分けはなく、GKとフィールドプレイヤーの合わせて4人で戦い、選手は足でプレイする代わりに、バンパーが取り付けられた電動車椅子に乗り、ジョイスティック・コントローラーを手や足、あごなどで絶妙に操りながら、直径32.5cmの巨大なボールを相手ゴールに蹴りこみ、得点を狙います。
繊細なドリブルや車体を一回転させて繰り出すシュート、1対1の局面で見られるボールを挟んだ攻防など、とても見ごたえのあるスポーツですので、興味のある方は是非とも「一般社団法人 日本電動車椅子サッカー協会(JPFA:Japan Powerchair Football Association) 」のホームーページをご覧ください。
そんな電動車椅子サッカーという競技に、昨年から徐々にのめり込んだのは帯広在住の「Yuske」君でした!
Yuske君は、第13回全国障害者スポーツ大会(スポーツ祭東京2013)の車椅子スラローム競技で金メダルを獲得したほどのマシンコントロールセンスの持ち主で、彼と電動車椅子サッカーの出会いは必然的だったと思います。
一緒にスラローム競技をしていた、千葉 絵里菜さん(NHKの障害者キャスター・リポーター就任 )の誘いで、彼女が所属していた「Safilva(サフィルヴァ) 電動車椅子サッカー 」に加入後、同チームのメンバーが所有していたインバケア社のTORQUE SP(トルク・エスピー)という電動車椅子を借りて練習を重ねていましたが、この先本格的に競技活動を続けて高みを目指すためには自分の体に合わせたマシンが必要と考え、競技専用車の購入に踏み切りました!
近年の電動車椅子サッカーで使用される競技車の主流は、アメリカで製造されている「Strike Force(ストライクフォース)」という小回りもパワーも兼ね備えた海外製電動車椅子で、鋼鉄のバンパーを取り付けたその姿は、例えるならば「重戦車」です。
このようなスポーツ用の車椅子は身障手帳を使った購入は認められないため、Yuske君は悩んだ結果・・・将来、自分が好きなスポーツカーを購入するため、就職してからコツコツと貯めていた貯金をストライクフォースの購入費に充てがう決意をしました!
ストライクフォースの購入は、Yuske君 自らがアメリカのメーカーと電子メールのやり取りをしながら進め、その仕様決定やオーダーフォーム(発注書)の記入などをイフにて全面的にサポートさせていただきました。
そして、正式な注文と送金処理を済ませ、待つこと一ヶ月余り・・・
日ごとに暖かさを増し春めいてきた3月末の晴天の日に、ドデカイ荷物がイフに届きました!
イフのボブキャットで荷受けして工場内に搬入し、さっそく開封の儀です!
(大きな箱の割に、中身は小さかった・・・(笑))
各部の組み付けやYuske君に合わせたシーティングを行うため、イフの作業台に乗せて準備完了!
フレームに貼られた養生テープに記された英語表記の名前がお洒落ですね♡
付属していた英語版マニュアルを眺めながら・・・
なんとなく・・・これまでの経験と感、そして勢いでセットアップを進めてみました(笑)
事前準備を経た後は、Yuske君の仕事が休みの日に来店してもらい、細かなシーティング調整を施しました。
こちらはストライクフォースに付属してくる専用の「Front Guard(フロントバンパー)」
鋼鉄製のガッチリとした作りで、その重さは約10kgもあります!!
フロントバンパーを装着すると、それっぽい雰囲気になってきました♪
こちらは、今回Yuske君がストライクフォース購入時に選択した「PC Programmer」関連のアイテムです。
ストライクフォースの走行プログラムを任意に調整するためには、ハンディタイプのプログラマーと、パソコンに専用ソフトをインストールして使う2タイプがありますが、Safilvaのチームメンバーがハンディタイプを所有していることから、Yuske君はパソコンにインストールして使うタイプを選択しました。
ハンディタイプよりPC(パソコン)タイプの方が、より細かな調整ができるとか・・・
初期設定されているプリセット(プログラムの内容)を確認し、少しだけ工場内でその動きを確認しましたが、いかんせん狭い工場内ではフルパワーで走ることはできないため、後日、場所を替えて最終調整をすることになりました!
今日のところは記念撮影をして終了です(^^)
Yuske君が帰ったあとは、バンパーを移動中に収納しておくための細工などを施しました。
電動車椅子サッカーの大会などでは、このバンパーを装着したまま体育館の外を走行することを禁じている(バンパーの着脱は体育館の所定の位置で行うなど)ため、移動中はこのような形で車椅子に乗せて運搬する必要があるのです。
それから数日経った某日、帯広市総合体育館に集合して本格的なセッティングを行いました!
Yuske君が購入した自前のボールをドリブルしながらその動きを確認し、徐々にマシンセッティングを煮詰めてゆきました♪
それまで練習で借りていたマシンとは比較にならないパワーとレスポンスを発揮するストライクフォースですが、抜群のマシンコントロールセンスで乗りこなしている姿は見ているこちらが感動するほどでした!
初試乗には車いすラグビー選手の上野文士さんも同行してくださり、チェアスキル(相手と競った際の車いすの動き方など)を今後も継続してコーチしてくださることになりました♪
Yuske君の今後の活躍に期待しながら、この「電動車椅子サッカー」の面白さを少しでも多くの方に知っていただきたいと思っていますので、今後は体験会なども催したいと目論んでいます。
皆さまも、Yuske君の応援、よろしくお願いいたしま~す\(^o^)/
(2018.4.30 追記)
十勝毎日新聞社の横田様が素敵な記事を書いてくださいました♪
▼町田佑介さん電動車いすサッカー本格活動 帯広 – 十勝毎日新聞電子版-Tokachi Mainichi News Web
https://kachimai.jp/article/index.php?no=426116
その後も、継続してマシンの改良を重ねながら、Yuske君が日本代表選手になれるよう、共に歩ませていただいております。。。
(2018.8.28 追記)
Yuske君のストライクフォースが更に進化(改造)をしたので、その模様を[ページ2]で公開させていただきますので、是非ともご覧ください♪
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