昨年、日産エルグランド・ハイウェイスターに「ターニーエヴォ」を取付した記事はご覧いただけましたか?
今回は、そのターニーエヴォをはじめとした、スウェーデンの “Autoadapt(オートアダプト)製品” の総輸入元となる 株式会社オフィス清水(本社:東京) からのご依頼で、東北海道ヤナセ株式会社 釧路支店 のお客様が、新車の「ベンツ GLS」購入に際して助手席リフトアップシート改造を希望され、イフで施工させていただくことになりました。
余談ですが「ターニーエヴォ」は更に進化を遂げて「ターニーエヴォⅡ」となり、待機電圧のエコ化や、動作の自由度などが大幅に改善されたNEWモデルとなっています♪
諸々の事前打ち合わせと確認を経て、新車の「ベンツ GLS」がイフに入庫してきました。
さすがベンツ!ボディサイズもビッグでド迫力です!
内装もゴージャスで、助手席も立派な本革の電動シートが装備されています。
ビッグなボディサイズとは裏腹に、運転席や助手席はその周辺に隙間は無くピッタリフィットするように装着されていました。
作業前に各部の寸法等を全て記録したうえで、純正の助手席を潔く取り外しました。
この外し取り外したシートはお客様に返却し、将来的に(車両を売却する際など)元に戻せるように保管しておいていただきます。
ターニーエヴォⅡのような後付シートは、車両を入替えする際などに、元の車から新しい車へ移設することが出来るため、末永〜く愛用することが出来るのです♪
純正シートを取り外した車両の床部分に「アプリケーション・ツール」と呼ばれる、ターニーエヴォⅡ専用の製作用治具を使い、シートを装着する位置関係をチェックしながら、シート固定用のブラケット(ステー)を製作していきます。
ターニーエヴォⅡなどのオートアダプト製の後付シートを取り付けする際に、ボディ側は一切無加工とするというのが大前提となりますが、ベンツ GLSはフロアの凹凸が多くあるため、アプリケーション・ツールを使った位置決め作業は難航しました・・・
よりベストな位置へターニーエヴォⅡを装着するため、ユニバーサル・マウントブラケットをフライス盤などを使って加工していきます。
ターニーエヴォⅡ専用に準備された “特殊なウェーデン鋼” で作られたユニバーサルな部材をオートアダプト指定の加工方法で造形し、保安基準に適合する強度を有したシートレッグ(取付ブラケット)が完成です。
加工が完了した部品は、いつもの “ウレタン焼付け塗装” で仕上げします。
同時進行で進めていたターニーエヴォⅡに関わる配線関係も準備万端です。
加工が完了したユニバーサル・マウントブラケットは、ベンツの内装素材に近い生地を貼り付けし、装着後の違和感がないように配慮しました。
純正シートを外したことで剥き出しになってしまった床部分にも、同様の生地を成形して貼り付けます。
違和感なしです♪
完成した取付ブラケットを先のアプリケーション・ツールを再度使い、車体へ固定します。
「ターニーエヴォⅡ本体」は、見た目のコンパクトさとは裏腹に 80kgほどの重量があるため、今回は無理せず(体と車を壊さないように・・・)クレーンを使って慎重に車体にセットしていきます。
「ターニーエヴォⅡ本体」の車体へのセット完了!
ターニーエヴォⅡ本体を仮固定した後は、電源配線などを接続し、マニュアル操作モードを使ってターニーエヴォⅡを動かします。
ターニーエヴォⅡには、前後スライド用+回転(展開・格納)動作用+上下昇降用の3つのモーターが内蔵されており、それぞれの動きを自由にプログラミングすることが出来るため、取り付けする車両や、利用する方の状況に合わせて最適な状態にセットアップ出来るのです!
最終的なプログラミングは全ての部品の取り付けが終わった後でじっくり行いますが、先ずはターニーエヴォⅡ本体に新たなシートを装着するためにマニュアルモードで展開~下降させた状態まで動かします。
少し解りづらいのですが・・・「ターニーエヴォⅡ」と呼ばれる製品は、オートアダプト製の電動で回転&昇降するユニット部分(シートの土台部分)の名称となり、そのターニーエヴォⅡの上に、オートアダプトで用意されている「コンパクトシート」や「ベブシート」もしくは、レカロ社のシートなどを取り付けして完成形となるのです。
尚、よくある質問で「元の助手席を付けられないのですか?」と聞かれますが、残念ながら純正で装着されているシートは土台と座席が一体式になっていて分離出来ないことや、それを加工した場合に保安基準に適合しなくなることなどから、ターニーエヴォⅡにドッキングして再利用することは出来ません、、、
今回、ターニーエヴォⅡにセットする新たなシートは、オートアダプト製の「コンパクトシート」で、オプションの表皮張り替えにてレザー調に仕上げたものを装着しました。
詳細なプログラミングをするため、シート周辺の樹脂製のカバーや足置き部分のパーツの取付をします。
木戸口(きどぐち)工場長が、ベンツ GLSに最適なシートの軌跡(動き)プログラミングしていきます。
じゃ~ん!完成です♪
ベンツ GLS の助手席リフトアップシート車は “日本初” ですよ!
ターニーエヴォⅡの動きを制御するプログラミングも完璧で、とてもスムーズな動きを実現しました♪
連続写真の途中でリクライニング角度が変化していますが、これは手動操作で行っています(電動リクライニング機構は付属していません)
完成後は早々に陸送業者様にて、東北海道ヤナセ株式会社 釧路支店 へ車両を運んでいただき、その後、日時を打ち合わせの上でお客様に納車させていただく流れとなりました。
この “日本初” の、ベンツ GLS 助手席リフトアップシート車を使うことで、お客様が安楽で快適に移動が出来ることを願っております。。。
ありがとうございました!
(2020.5.27 追記)
~メルセデスベンツ GSL/GLE へ「ターニーエヴォⅡ」をご検討のお客様へ~
同車両へターニーエボを装着する場合には、新車発注時にメルセデス・ベンツ本社に特別オーダーをする必要があり、通常輸入されている車両をベースに改造を施すことはできません。
また、事前にディーラー様を交えた各種の確認や諸契約、改造後にもディーラー様によるプログラム変更作業などを行う必要がございます。
尚、改造後の車両は、各部の寸法的な制約や使用上の諸条件等があるため、万人受けの福祉車両にはなりませんことをご注意ください。