後付が可能なスウェーデン・オートアダプト製のリフトアップシート「ターニーエヴォ」を、お客さまが所有している日産エルグランド・ハイウェイスター(TNE52型)の助手席に取り付けさせていただきました。
スウェーデンに拠点を置く “Autoadapt(オートアダプト)グループ” のパートナー企業である 株式会社オフィス清水(本社:東京) が日本に輸入している「ターニーエヴォ」は、国内外の様々な車種に対応することが可能な後付用の回転昇降シートで、新車はもちろん、今お持ちのクルマにも取り付けることができます。
今回は、帯広日産自動車株式会社様 からのご依頼で、ユーザー様が所有するエルグランドの助手席への乗り降りを楽にしたいとのことで、各種の打ち合わせを経て施工させていただくことに相成りました。
部品が入荷するタイミングを見計らって、お客様の愛車をお預かりしました♪
本革シートのゴージャスな内装のエルグランド・ハイウェイスターですが、車いすをお使いのお客様にとっては助手席の座面が高いため、その移乗は容易ではなく、ご家族の方に手伝ってもらいながら乗り降りしていたそうです・・・
オットマン(足を上げることが出来る機構)が装備された立派な助手席シートでしたが、潔く取り外しさせていただきました。
この外し取り外したシートはお客様に返却し、将来的に(車両を売却する際など)元に戻せるように保管しておいていただきます。
※ターニーエヴォのような後付シートは、車両を入替えする際などに、元の車から新しい車へ移設することが出来るため、末永〜く愛用することが出来るのです♪
純正シートを取り外した車両の床部分に「アプリケーション・ツール」と呼ばれる、ターニーエヴォ専用の製作用治具を使い、シートを装着する位置関係をチェックしながら、シート固定用のブラケット(ステー)を製作していきます。
この専用治具がかなりの優れもので、一昔前は、重たい回転昇降シートを何度も車両に載せおろししながら車種毎の取付ステーを製作していましたが、このアプリケーション・ツールのおかげでシートは一度も乗せることなく、ほぼ全ての主要な位置関係を見切ることが出来るのです!
そしてこちらが完成したエルグランドへターニーエヴォを装着するための取付ブラケットです。
ターニーエヴォ専用に準備された “特殊なウェーデン鋼” で作られたユニバーサルな部材をオートアダプト指定の加工方法で造形することで保安基準に適合する強度を有したシートレッグ(取付ブラケット)が完成するのです。
加工が完了した部品は、いつもの “ウレタン焼付け塗装” で仕上げします。
完成した取付ブラケットを先のアプリケーション・ツールを再度使い、車体へ仮固定します。
車両側の下準備が完了したところで「ターニーエヴォ本体」箱から取り出し、車体へ搭載する準備を進めます。
この「ターニーエヴォ本体」は、見た目のコンパクトさとは裏腹に 80kgほどの重量があるため、慎重に(体と車を壊さないように・・・)車体にセットしていきます(汗)
ターニーエヴォ本体を仮固定した後は、仮の12V電源を接続し、マニュアル操作モードを使ってターニーエヴォを動かします。
ターニーエヴォには、前後スライド用+回転(展開・格納)動作用+上下昇降用の3つのモーターが内蔵されており、それぞれの動きを自由にプログラミングすることが出来るため、取り付けする車両や、利用する方の状況に合わせて最適な状態にセットアップ出来るのです!
最終的なプログラミングは全ての部品の取り付けが終わった後でじっくり行いますが、先ずはターニーエヴォ本体に新たなシートを装着するためにマニュアルモードで展開~下降させた状態まで動かします。
少し解りづらいのですが・・・「ターニーエヴォ」と呼ばれる製品は、オートアダプト製の電動で回転&昇降するユニット部分(シートの土台部分)の名称となり、そのターニーエヴォの上に、オートアダプトで用意されている「コンパクトシート」や「ベブシート」もしくは、レカロ社のシートなどを取り付けして完成形となるのです。
尚、よくある質問で「元の助手席を付けられないのですか?」と聞かれますが、残念ながら純正で装着されているシートは土台と座席が一体式になっていて分離出来ないことや、それを加工した場合に保安基準に適合しなくなることなどから、ターニーエヴォにドッキングして再利用することは出来ません、、、
今回、ターニーエヴォにセットする新たなシートは、レカロ社のエルゴメドMV をチョイスしました。
ターニーエヴォにレカロシートを装着する場合は、「レカロシートアダプター」というオプション部品を追加して取り付けします。
オートアダプトではレカロシート専用のアームレストもオプションで用意されており、レカロの純正品と比較すると、回転シートとの相性が良いように肘置き部分の横幅が薄くコンパクトな設計になっています。
ターニーエヴォにアームレストを付けたレカロシートを装着した状態で、マニュアルモードで車内に格納しながら、各部の位置関係や干渉具合などのチェックを行います。
左側の肘掛けとドアのクリアランス(隙間)をもう少し確保するため、ターニーエヴォの取付位置を微調整し、更にアームレストの取付金具をフライス盤などで追加加工しました。
絶妙なクリアランス(隙間)でレカロシートを搭載することが出来ました♪
同時進行で進めていたターニーエヴォに関わる配線関係を仕上げて取付します。
シート周辺の樹脂製のカバーや足置き部分のパーツも取付完了。
最期の仕上げは、各所に貼って注意喚起を促すラベルをテプラで製作して・・・
じゃ~ん!完成です♪
ターニーエヴォの動きを制御するプログラミングもバッチリ行い、とてもスムーズな動きを実現しました♪
ターニーエヴォはイニシャル(基本の位置)から最大39cmまで昇降(下降)させる能力を有しており、プログラミングで任意の高さに制御することが出来ますが、今回は極力低くして欲しいというお客様の要望に答え、最大限まで下降できるようにセットさせていただきました。
座面高40cmの介助型車いすと比較すると、その下がり具合が一目瞭然ですね♪
最期に、お客様にお渡しする取扱説明書や緊急時のエマージェンシーツールをまとめたファイルを作成し、いつでも納車OKとなりました。
お客さま!納車を楽しみにしていてくださいませ~\(^o^)/
(2018.6.30 追記)
リフトアップシートの実際の動きはスライド写真だけではお伝えしきれないなぁ・・・と考えておりましたので、このほど イフのYouTubeチャンネル に、本記事の完成動画をアップしました!
皆さま!(けっこう頑張って、自作ムービーを作成したので(笑))是非ともご覧ください♪